地方に「豊かさ」の核を打つ。アトリエ建築家が描く、これからの地域共生と空間の作法
地方に「豊かさ」の核を打つ。アトリエ建築家が描く、これからの地域共生と空間の作法
地方に「豊かさ」の核を打つ。アトリエ建築家が描く、これからの地域共生と空間の作法
こんにちは、河添建築事務所を主宰している河添です。今日は少し、建築という営みが地方都市においてどのような役割を果たし、私たちの暮らしをどう変えていくのか、という深遠なテーマについてお話ししてみたいと思います。
最近、都心から地方へと拠点を移す、あるいは二拠点生活(デュアルライフ)を検討される方が非常に増えています。かつて「地方で建てる」ことは、ある種の利便性とのトレードオフと考えられていたかもしれません。しかし、現在の価値観において、地方で建築家との家づくりを行うことは、人生における最も贅沢で知的な投資へと変貌を遂げています。そこには、都市では決して手に入らない「余白」と「文脈」があるからです。
均質化する都市へのアンチテーゼ:なぜ今、「地方」なのか
現代の都市は、極めて効率的で均質な空間で埋め尽くされています。どこへ行っても同じような商業施設があり、同じようなスペックの住宅が並ぶ。それはそれで一つの完成された豊かさではありますが、建築家としての視点から見ると、そこにはその土地特有の「声」が欠落しているように感じることがあります。
一方で、私たちの香川の拠点があるような地方都市には、断片化されながらも色濃い地域のアイデンティティが残っています。瀬戸内の柔らかな光、土地の傾斜、古くからそこにある石積みの質感。アトリエ建築家の役割は、それらの要素を丁寧に掬い上げ、現代のミニマリズムというフィルターを通して、新しい風景として再定義することにあります。
建築は、単に機能的な箱を造ることではありません。その土地が持つ潜在的な魅力を引き出し、住まう人がその場所に誇りを感じられるような「拠点」を創ること。それが、地方における建築の真髄です。
風土を解釈する:マテリアリティと時間の蓄積
私たちが設計において最も大切にしているのが、マテリアリティ(素材感)の選定です。地方の豊かな自然の中に建つ建築は、時間とともに美しく老いていくものでなければなりません。
例えば、打ち放しのコンクリートに木目を感じさせる杉板の型枠を用いたり、地元で産出される石材を床に敷き詰めたり。こうした素材は、光の当たり方や湿度によってその表情を刻一刻と変えていきます。朝の鋭い光が壁面をなぞる瞬間や、夕暮れ時の静謐な影。こうした視点を空間に組み込むことで、住まう人は日常の中で季節の移ろいや時間の深まりをより鋭敏に感じ取ることができるようになります。
建築が完成した瞬間がゴールではなく、10年後、20年後にその土地の木々と馴染み、風雨にさらされた壁面が味わいを増していく。そんな「時間の蓄積」を許容する設計こそが、地域共生の第一歩だと考えています。
建築家は「風景」の編集者である
アトリエ建築家は、クライアントの要望を形にするだけでなく、周辺環境を含めた「風景」の編集者としての側面を持っています。特に地方都市では、一軒の建築が周囲の景観に与える影響は小さくありません。
私たちは、建物を閉じた私有財産として捉えるのではなく、街に対してどのような「構え」を見せるべきかを常に自問自答します。道行く人がふと足を止めるような、美しい軒先のラインや、植栽の配置。あるいは、周辺の山並みを取り込むための開口部の位置。これらを緻密に計算することで、私邸でありながらも地域全体に心地よいリズムを与える存在。それが、地域共生における建築の役割です。
KAWAZOE-ARCHITECTSが提案するのは、ただ目立つ建物ではありません。静かに、しかし確かな意志を持ってそこに佇み、数十年後の街並みをより良くするための「核」となるような空間です。
プロセスという名の対話:失敗しない家づくりのために
建築家との家づくりは、長く、エキサイティングな旅のようなものです。既製品の住宅を選ぶのとは違い、自分たちがどう生きたいのか、どのような価値観を大切にしたいのかを、私たち建築家と共に深く掘り下げていくプロセスが必要です。
多くの方が「後悔したくない」という想いで家づくりを始められます。そのために重要なのは、単なる機能面の充足ではなく、自分の美意識にどれだけ誠実に向き合えるかということ。私たちは、その対話を最も大切にしています。後悔しない住まいづくりのために必要なのは、最新の設備を詰め込むことではなく、無駄を削ぎ落とした先にある、本質的な豊かさを見つけ出すことなのです。
結び:100年後のスタンダードを創る
地方都市におけるアトリエ建築家の存在意義は、加速する均質化の中で、その土地にしかない価値を守り、育てることにあります。私たちは香川と東京の二つの拠点を行き来しながら、グローバルな感性とローカルな文脈を融合させ、唯一無二の空間を創造し続けています。
建築は、未来への贈り物です。皆さんがこれから創ろうとしているその空間が、単なる居住の場を超えて、地域に愛され、時間を超えて愛され続ける「風景」となることを願っています。もし、あなたが自分の人生を体現するような特別な空間を求めているなら、ぜひ一度、私たちにお声がけください。共に、まだ誰も見たことのない風景を描いていきましょう。



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