難あり土地を価値に変える──狭小地・変形地・道路付けの設計戦略

 


難あり土地を価値に変える──狭小地・変形地・道路付けの設計戦略

“条件が悪い”は本当にデメリットか?

狭小地、旗竿地、三角形の変形地、北向き接道──一見ハンデに見える条件でも、設計次第で唯一無二の価値に変えられます。私たちは敷地の制約を「設計の素材」と捉えます。

狭小地:縦と奥行きで広がる家

建築家による住宅デザイン では、狭さを補うのではなく「立体の余白」をつくります。

  • 吹抜けとスキップフロアで“高さ方向”に開放感を創出
  • 光庭(ライトコート)で採光・通風を確保
  • 造作収納で床面積以上の体感的広さを生む

こうした断面操作は、性能とデザインの家 の思想にも通じています。

変形地:形に合わせず“暮らし”に合わせる

三角形・台形などの変形地は、内部に無駄が出やすい一方で視線の抜けや外構計画に独自性を生みます。

  • 鋭角部は収納やワークスペースに転用
  • 斜辺側に連続窓を設けて抜けを強調
  • 敷地形状を活かした外構で街との接点をデザイン

旗竿地:アプローチが“体験”になる

細い通路(竿)と奥の敷地(旗)。通路部分を「もてなしのプロムナード」と捉え、光・植栽・素材で演出します。

  • 足元照明と植栽で安全・安心の導線を形成
  • 曲がり角に袖壁や小窓を設けてリズムをつくる
  • 奥で一気に開放する“劇的な抜け”を設計

北向き接道:均質な明るさと陰影を味方に

南が隣家の場合でも、トップライトやハイサイドライト、内庭で安定した明るさを確保。反射面を計画して柔らかな拡散光を取り込みます。

商業・都市スケールへの展開

難条件の敷地は店舗でも個性になります。 店舗デザイン では、狭さを活かした回遊動線や“覗き”の演出が効果的。都市計画では、 東京オフィス を中心に余剰地・細分化地の再編を提案し、 香川オフィス では路地文化を活かしたまちづくりに展開しています。

テクノロジーで“勝ち筋”を可視化

Metabrain Lab では、日射・通風・視線シミュレーションで最適解を検証。VRで動線や抜け感を体験しながら、コスト・法規・性能のバランスを擦り合わせます。実例は ポートフォリオ に掲載しています。

建築家の視点

制約は設計の敵ではなく、唯一無二の解を生む“起点”。条件が厳しいほど、完成後の価値は際立ちます。

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