“視線”のデザインって何？」——空間を“目線”で読む建築家の視点

 

目線がつくる“空間の印象”

私たちが空間を体験するとき、

視線の動きこそが「その場の印象」を決めていると言っても過言ではありません。

天井の高さ、窓からの抜け、

ソファに座ったときの見え方——

こうした**“目線のデザイン”こそ、空間の豊かさを左右する設計のカギ**です。

座る・立つ・歩く、すべてに“見え方”がある

住宅設計では、

住む人の「視線の高さ」によって設計を調整しています。

• ソファから庭がどんなふうに見えるか
• ダイニングに座ったとき、天井の高さがどう感じられるか
• 廊下を歩いたとき、視界が抜ける先に何を配置するか

設計図ではわからない、**「目線体験のリアリティ」**がここにあります。

“見せたいもの”と“隠したいもの”を整理する

視線をデザインすることは、空間に秩序を与えることでもあります。

• 玄関から直接キッチンが見えない工夫
• 寝室から視界に入らない生活感の遮蔽
• 景色を切り取るピクチャーウィンドウの設計

視線の流れが整うと、空間は自然と美しく感じられるのです。

店舗設計では“滞在時間”を左右する

店舗デザインでも、

視線のコントロールは売上やブランド体験に直結します。

• 入ってすぐに視界に入るメニューや商品の配置
• 奥行きを強調して“入りやすく”する設計
• 店員の視線と来客の視線を重ねない距離設計

見せたいものを、見せたいタイミングで見せる。

これが、視線のデザインの妙です。